緑内障の治療を中断してしまった方へ|通院・点眼を再開する大切さを旭川市の眼科専門医が解説
2026.10.01コラム
「緑内障と言われたけれど、しばらく眼科に行っていない」
「点眼薬を途中でやめてしまった」
「今さら受診したら、怒られるのではないかと気まずい」
このような理由で、眼科への受診をためらっていませんか?
緑内障は、長い期間にわたって治療や経過観察を続けていく病気です。
しかし、毎日の点眼や定期的な通院を何年も続けることは、決して簡単なことではありません。
仕事や家事が忙しかったり、症状がないため通院の必要性を感じにくかったり、点眼を忘れる日が続いたことをきっかけに、そのまま治療から遠ざかってしまうこともあります。
もし緑内障の治療を中断してしまっていても、「今さら行きにくい」と思わず、もう一度眼科を受診してください。
大切なのは、過去に通院できなかったことではなく、今の目の状態を確認し、これからどうしていくかを考えることです。
この記事では、
・なぜ緑内障の治療を中断しないことが大切なのか
・治療を中断してしまうことは珍しいのか
・点眼を続けることが難しい場合の治療方法
について、旭川市の眼科専門医が解説します。
監修:十川眼科大町院 院長 中林征吾(日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士)
1. 緑内障治療で大切なのは「治療を続けること」
2. なぜ治療を中断するといけないの?
3. 緑内障の治療を続けるのは簡単ではありません
4. しばらく通院していなくても、もう一度受診してください
5. 再受診したら、どのような検査をする?
6. 点眼を続けるのが難しい場合は?
7. 「お久しぶりです」から、また始めましょう
8. 関連するページへのリンク
1. 緑内障治療で大切なのは「治療を続けること」
緑内障と診断されると、「食事で気をつけることはありますか?」、「運動しても大丈夫ですか?」、
「スマートフォンを見すぎると悪くなりますか?」など、
日常生活について心配される方が多くいらっしゃいます。
もちろん生活習慣について気になることがあればご相談いただきたいのですが、 最も大切なことは、通院や治療を中断しないことです。
緑内障の治療の目的は、眼圧を適切にコントロールし、視神経の障害や視野欠損が進行するスピードをできるだけ抑えることです。
そのためには、点眼薬を使用するだけでなく、定期的に眼圧・視野・視神経の状態を確認しながら、
患者様一人ひとりに合った治療を続けていく必要があります。
2. なぜ治療を中断するといけないの?
緑内障で特に注意が必要なのは、病気が進行していても自分では気づきにくいという点です。
緑内障による視野の障害は、多くの場合ゆっくりと進みます。
片方の目の見えにくい部分をもう片方の目が補ったり、脳が周囲の情報を補ったりするため、ある程度進行するまで自覚症状がないことも珍しくありません。
そのため、
「見え方は変わっていないから大丈夫」
「特に困っていないから、眼科に行かなくてもいいかな」
と思っていても、実際には眼圧が上がっていたり、視野障害が進行していたりする可能性があります。
また、緑内障によって一度障害された視神経や失われた視野を、現在の医療で元の状態に戻すことは困難です。
だからこそ、定期的に状態を確認し、進行をできるだけ抑えていくことが重要になります。
3. 緑内障の治療を続けるのは簡単ではありません
「毎日決まった回数の点眼をして、定期的に眼科を受診する」
言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、これを何年、何十年と続けることは簡単ではありません。
実際、国内外の緑内障診療でも、点眼治療をきちんと継続することの難しさは大きな課題の一つとされています。
治療を中断してしまう理由もさまざまです。
・仕事や家事が忙しく、通院する時間が取れなかった
・引っ越しや転勤などで通院できなくなった
・毎日点眼していても、良くなっている実感がなかった
・点眼を忘れる日が続き、そのまま使わなくなってしまった
・点眼薬で目が赤くなったり、しみたりして使いにくかった
・症状がないため、治療が必要なのかわからなくなった
・予約日に行けず、その後なんとなく受診しづらくなった
など、さまざまな事情があります。
緑内障は長期間付き合っていく病気です。
途中で通院や点眼が途切れてしまうこと自体は、決して珍しいことではありません。
大切なのは、そこで治療からずっと離れてしまわないことです。
4. しばらく通院していなくても、もう一度受診してください
緑内障の治療を中断している方の中には、
「半年も行っていないから気まずい」
「もう何年も経ってしまった」
「先生に怒られるのではないか」
「点眼をしていなかったと言いづらい」
と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私たち眼科医が知りたいのは、患者さんを責めるための「過去」ではありません。
・今、眼圧がどのくらいなのか
・視神経や視野に変化がないか
・これからどのような治療をすれば、目を守っていけるのか
それを確認することが何より大切です。
数か月空いていても、数年空いていても構いません。
まずは現在の状態を確認するところから、もう一度始めることができます。
以前通っていた眼科に行きづらい事情がある場合には、別の眼科で診てもらうことも一つの方法です。
過去の検査結果やお薬手帳、使用していた点眼薬が残っていれば、受診の際に持参すると診療の参考になります。
5. 再受診したら、どのような検査をする?
緑内障の治療をしばらく中断していた場合には、現在の状態を改めて評価します。
・眼圧検査
・眼底検査やOCT検査による視神経や網膜神経線維層の検査
・視野検査
・必要に応じて隅角検査など
を行います。
以前の検査結果が残っている場合には、現在の結果と比較することで、治療を中断していた期間にどの程度変化があったのかを判断できることがあります。
そのうえで、眼圧や緑内障の進行程度、年齢、生活スタイルなどを考慮しながら、今後の治療方針を決めていきます。
以前と同じ点眼薬を再開する場合もあれば、別の点眼薬へ変更したり、治療方法そのものを見直したりする場合もあります。
6. 点眼を続けるのが難しい場合は?
「また点眼を始めても、毎日続けられる自信がない」
という方もいらっしゃると思います。
その場合も、できなかったことを隠す必要はありません。
点眼を続けにくい理由を眼科医に伝えることが、治療方法を考えるうえで重要です。
例えば、点眼回数が多くて負担になっている場合には、薬の種類や組み合わせを工夫することで点眼回数を減らせることがあります。
点眼による充血や目の周りのかぶれなどが問題になっている場合には、薬剤を変更することで改善することもあります。
また、緑内障の種類や目の状態によっては、SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)などのレーザー治療を選択できる場合もあります。
さらに緑内障が進行している場合や、十分に眼圧を下げる必要がある場合には、手術を検討することもあります。
緑内障治療は、「すべての患者さんが同じ点眼を続ければよい」というものではありません。
無理なく治療を続けられる方法について、一緒に考えていくことが大切です。
7. 「お久しぶりです」から、また始めましょう
緑内障は、長期間にわたって付き合っていく病気です。
マラソンのように長い治療の途中で、仕事や生活環境の変化などによって立ち止まってしまう時期があることもあります。
もし、今この記事を読んでいる方が、
「緑内障と言われたけれど、しばらく眼科に行っていない」
「点眼薬をやめてしまっている」
「そろそろ診てもらわないといけないと思っている」
のであれば、そのお気持ちを大切にしてください。
過去に通院できなかったことを責めるよりも、今の目の状態を確認して、これから先の視機能を守るためにできることを考えることのほうが大切です。
緑内障によって一度失われた視野を元に戻すことは困難ですが、適切に眼圧を下げることで、緑内障の進行を遅らせることができます。
「しばらく行っていないから、今さら受診しづらい」
と思う必要はありません。
「お久しぶりです」から、また始めましょう。
十川眼科大町院では、しばらく緑内障治療を中断していた方のご相談も受け付けています。
まずは現在の目の状態を確認し、その方に合った今後の治療方法を一緒に考えていきます。
「そろそろ、また診てもらおうかな」と思われた方は、お気軽にご相談ください。
8. 関連するページへのリンク
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