十川眼科大町院
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閉塞隅角の緑内障とは?|隅角が狭い、PACS、PAC、急性原発閉塞隅角緑内障について

2026.05.24コラム

「前房や隅角が狭いと言われた」
「緑内障ではないけれど注意が必要と言われた」
「早めの白内障手術をすすめられた理由がよくわからない」
「風邪薬や睡眠薬に注意と言われた」

このように言われて、不安になったことはありませんか?

緑内障にはいくつかのタイプがありますが、その中でも「閉塞隅角のタイプ」は、急激な眼圧上昇を起こすことがあるため注意が必要です。 また、まだ緑内障になっていない段階でも、将来的な発作予防のために治療を行うことがあります。

この記事では、
・閉塞隅角のタイプとは何か
・なぜ隅角が狭くなるのか
・急性原発閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)とは
・レーザーや白内障手術の役割
・風邪薬や睡眠薬との関係
について、眼科専門医がわかりやすく解説します。


監修:十川眼科大町院 院長 中林征吾(日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士)



1. 隅角とは?
2. なぜ隅角が狭くなるの?
3. 閉塞隅角のタイプにはいくつか種類がある
4. 閉塞隅角の進行具合による病名の違い
5. 急性原発閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)とは?
6. 風邪薬や睡眠薬に注意が必要な理由
7. 閉塞隅角のタイプの治療
8. 当院の緑内障診療について
9. まとめ
10. 関連ページへのリンク

1. 隅角とは?


目の中では、 「房水(ぼうすい)」という水が循環しています。 房水は瞳の後ろから瞳を通って「前房(ぜんぼう)」というスペースを満たします。 その房水の出口にあたる部分が「隅角(ぐうかく)」です。角膜と虹彩(茶色目)の端っこでできる部分です。

隅角が狭くなると房水の流出が妨げられ、眼圧が上昇することがあります。

閉塞隅角のイメージ

2. なぜ隅角が狭くなるの?


隅角が狭くなるのは、もともと遠視のある目で起こることが多いです。 さらに年齢とともに白内障が進行すると、水晶体が厚くなって目の中のスペースがさらに狭くなります。 その結果、虹彩が前方へ押し出され、房水の出口である隅角がさらに狭くなっていきます。

隅角が狭い部分がある一定範囲以上になった場合「閉塞隅角(へいそくぐうかく)」と呼びます。 閉塞隅角のタイプでは「目の構造そのもの」が関係しています。


3. 閉塞隅角のタイプにはいくつか種類がある


閉塞隅角のタイプといっても原因はひとつではありません。


 白内障によるもの


加齢による白内障、つまり水晶体の厚みが増すことによって隅角が狭くなるタイプです。


 プラトー虹彩


一見すると隅角が広そうに見えても、実際には隅角鏡検査で閉塞隅角が見つかることがあります。
虹彩(こうさい、茶色目)の根元が前方に押し上げられる独特の形をしています。


通常の診察だけでは十分に評価できず、専用のレンズを用いた「隅角鏡検査」が必要になります。


 続発性閉塞隅角


ぶどう膜炎などの炎症によって虹彩が周囲へ癒着してしまい、隅角が閉塞することがあります。
これを「周辺虹彩前癒着(しゅうへんこうさいぜんゆちゃく)」と呼びます。
このタイプも診断するには隅角鏡検査が必須になります。


4. 閉塞隅角の進行具合による病名の違い


閉塞隅角のタイプでは、進行段階によって病名が変わります。以下のように分類します。


  • 原発閉塞隅角症疑い(PACS:Primary Angle Closure Suspect)
    閉塞隅角はあるもののまだ眼圧上昇や周辺虹彩前癒着がなく、視神経、視野に緑内障性変化もない状態です。 閉塞隅角気味だけど、まだ何も悪いことは起きていない状態です。

  • 原発閉塞隅角症(PAC:Primary Angle Closure)
    閉塞隅角によって眼圧上昇や周辺虹彩前癒着が起こっている状態ですが、視神経、視野に緑内障変化はない状態です。 眼圧上昇や癒着がはじまった状態です。

  • 原発閉塞隅角緑内障(PACG:Primary Angle Closure Glaucoma)
    閉塞隅角によって眼圧上昇があり、視神経、視野に緑内障変化がある状態です。 緑内障になってしまった状態です。

  • 続発閉塞隅角緑内障(Secondary Angle Closure Glaucoma)
    他に原因が明確にあり、それによって起こる閉塞隅角でおこった緑内障(ぶどう膜炎という炎症や、手術や外傷で周辺虹彩前癒着が広範囲になった場合など)。

5. 急性原発閉塞隅角緑内障(急性緑内障発作)とは?


閉塞隅角のタイプの目では、隅角が急激に閉塞し、眼圧が急上昇することがあります。 これを「急性原発閉塞隅角緑内障(緑内障発作)」と呼びます。


急激な眼圧上昇によって、

  • 強い目の痛み
  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐
  • 急な視力低下

などを引き起こします。

放置すると、短期間で視神経や視野に緑内障性変化を起こし、重度の視機能障害を起こすことがあります。 緊急治療が必要になる病気です。


6. 風邪薬や睡眠薬に注意が必要な理由


閉塞隅角のタイプでは一部の薬によって瞳孔が広がることで、隅角がさらに狭くなることがあります。


そのため、

  • 風邪薬
  • 睡眠薬
  • 抗アレルギー薬

などで、急激な眼圧上昇を起こすことがあります。


ただし、すべての緑内障の方で問題になるわけではありません。 日本人の緑内障の方の中で閉塞隅角のタイプの方は10%程度とされています。
本質的には、緑内障があるかというより、閉塞隅角のタイプの方にこれらの薬の使用が危険な可能性があります。 60歳以上の遠視の目の方は要注意といえます。


7. 閉塞隅角の治療


閉塞隅角のタイプでは、単に点眼で眼圧を下げるということではなく、 「閉塞した隅角そのものを解除すること」が重要になります。


 点眼治療


プラトー虹彩の方には、縮瞳薬という、瞳を縮めて茶色目を真ん中に寄せる点眼が治療薬になります。


 レーザー治療


閉塞解除のために、

  • レーザー虹彩切開術:主に白内障やプラトー虹彩による閉塞隅角
  • レーザー隅角形成術:主にプラトー虹彩による閉塞隅角

などを行うことがあります。


 白内障手術(水晶体摘出)


白内障が原因となっている場合、白内障手術が非常に有効です。 厚くなった水晶体を取り除くことで、目の中のスペースが広がって隅角が広くなるからです。


そのため、閉塞隅角のタイプでは、比較的早い段階で白内障手術をすすめることがあります。


 隅角癒着乖離術


閉塞隅角のタイプでは、虹彩と隅角が触れていることで癒着してしまうことがあります。
癒着の範囲が広い場合には、白内障手術とあわせて「隅角癒着乖離術(ぐうかくゆちゃくかいりじゅつ)」 を行うことがあります。

癒着した部分を開放することで、房水の流れを改善する手術です。


 広範囲の癒着ではトラベクレクトミーの手術が必要なことも


閉塞隅角のタイプで長期間の周辺虹彩前癒着があると、白内障手術や癒着乖離の手術でも高い眼圧が下がらない場合があります。 その場合には、開放隅角緑内障でも行われる「トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)」などのしっかりとした眼圧をさげる手術が必要になることがあります。


8. 当院の緑内障診療について


閉塞隅角のタイプは、通常の顕微鏡検査だけではわからないケースもあり、隅角鏡検査が重要です。
当院では、隅角鏡検査を含めた正確な病型分類が可能です。 緑内障診療に精通した院長が病型をしっかり診断したうえで、患者さんごとに適切な治療方針をご提案いたします。 手術適応の判断まで一貫して対応しています。


点眼治療やレーザー治療から白内障手術、緑内障手術まで含めて総合的な診療を行っています。


9. まとめ


閉塞隅角のタイプでは、隅角が狭くなることで眼圧上昇を起こします。
特に急性原発閉塞隅角緑内障では、急速に視機能障害が進行することもあります。

また、閉塞隅角のタイプでは、風邪薬や睡眠薬などで急性発作を誘発する可能性があり注意が必要です。
病型をしっかり診断し、適切なタイミングで治療を行うことが重要です。




著者情報

十川眼科大町院 院長 中林征吾

医師紹介ページ アクセス
中林 征吾
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士
  • 日本眼科学会、日本緑内障学会、日本眼炎症学会 所属

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