十川眼科大町院
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点眼薬の正しい保存方法とは?|冷蔵庫・夏の室温・車内での保管を旭川市の眼科専門医が解説

2026.10.03コラム

「目薬は冷蔵庫に入れたほうがいいですか?」
「室温保存と書いてあるけれど、夏に30℃を超えても大丈夫?」
「外出するとき、ポケットに入れて持ち歩いてもいい?」
「車の中に置き忘れてしまった目薬は使える?」

点眼薬の保存方法について、このようなご質問をいただくことがあります。

点眼薬は、すべて同じ方法で保存すればよいわけではありません。
多くの点眼薬は室温で保存できますが、中には冷蔵庫での保存が必要なものや、光を避けて保管する必要があるものもあります。

また、意外と注意したいのが、夏の室内、車の中、ポケットの中、そして冷蔵庫の「冷えすぎる場所」です。

さらに、同じ有効成分の点眼薬でも、先発医薬品とジェネリック医薬品、あるいはメーカーの違いによって保存方法が異なる場合があります。

この記事では、
・「室温保存」は何℃までなのか
・夏に部屋が30℃を超える場合はどうするのか
・点眼薬は冷蔵庫に入れてもよいのか
などについて、旭川市の眼科専門医が解説します。


監修:十川眼科大町院 院長 中林征吾(日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士)



1. 点眼薬はどこに保存すればいい?
2. 「室温」「常温」「冷所」は何℃?
3. 室温保存なら、夏に30℃を超えても大丈夫?
4. 点眼薬は冷蔵庫に入れてもいい?
5. 冷蔵庫でも「凍結」に注意
6. ポケットやバッグに入れて持ち歩いてもいい?
7. 車の中に点眼薬を置いてもいい?
8. 先発品とジェネリックで保存方法が違うことも
9. 開封後はいつまで使える?
10. まとめ
11. 関連するページへのリンク

1. 点眼薬はどこに保存すればいい?


点眼薬を保存するときに、まず知っておいていただきたいことがあります。
それは、「目薬は全部冷蔵庫に入れておけば安心」というわけではないということです。
点眼薬によって保存条件は異なります。

・室温で保存するもの
・冷所や2~8℃などで保存するもの
・光を避けて保存するもの
・凍結を避ける必要があるもの

などがあります。

そのため、基本となるのは、処方されたときの薬袋や点眼薬の説明書に書かれている保存方法を確認することです。

特別な指示がなければ、直射日光を避け、温度変化の少ない涼しい場所で保管するのが基本です。


2. 「室温」「常温」「冷所」は何℃?


薬の保存方法には、「室温」「常温」「冷所」といった言葉が使われます。
普段の会話では同じような意味に感じるかもしれませんが、医薬品ではそれぞれ温度の目安が決められています。

・室温:1~30℃
・常温:15~25℃
・冷所:1~15℃

です。

特に覚えておいていただきたいのは、「室温保存=何℃でも部屋に置いてよい」という意味ではないことです。
室温保存とされている薬でも、30℃を大きく超えるような場所に長時間置いておくことは避けたほうがよいでしょう。


3. 室温保存なら、夏に30℃を超えても大丈夫?


夏になると、エアコンを使用していない部屋では室温が30℃を超えることがあります。

「室温保存」とされている点眼薬の場合、医薬品でいう室温は1~30℃です。
そのため、30℃を超える環境に長時間置いておくことは、適切な保存環境とはいえません。

特に注意したいのは、

・直射日光が当たる窓際
・日当たりのよい部屋
・暖房器具の近く
・夏場のバッグの中
・車の中

などです。

室温保存の点眼薬は、家の中でもなるべく温度変化が少なく、直射日光の当たらない涼しい場所に置きましょう。

夏場に室内が長時間30℃を超えてしまう場合や、どこに保管すればよいかわからない場合には、自己判断で保管方法を変更せず、眼科や薬局に確認してください。


4. 点眼薬は冷蔵庫に入れてもいい?


「暑くなるくらいなら、全部冷蔵庫に入れたほうが安全なのでは?」
と思われるかもしれません。

室温は1~30度と定義されており、一般的な冷蔵庫内の2~8℃は温度としてはその範囲に入ります。 そのため、室温保存の点眼薬は、冷蔵庫の中で保管しても問題はありませんが、 室温保存だから冷蔵庫に入れて大丈夫とも限りません。

例えばリザベン点眼液は室温保存ですが、 冷蔵庫で保存すると結晶が析出することがあるため、冷蔵保存を避けるよう定められています。

また、シスタドロップス点眼液のように、開栓前は2~8℃で冷蔵保存ですが、開封後は「常温(15~25℃)」で保存し、 冷蔵庫には戻さないよう指定されている点眼薬もあります。

そのような注意書きのない室温保存の点眼は冷蔵庫に入れても問題ないですが、 下の項目にもあるように冷やしすぎ・凍結には注意が必要です。
一方で、「2~8℃保存」「冷所保存」などと指示されている点眼薬については、その指示に従って冷蔵庫で保存します。

また、遮光が必要な点眼薬の場合には、冷蔵庫に入れているから光を気にしなくてよいわけではありません。
付属の遮光袋や箱に入れるなど、指示された方法で保管してください。


5. 冷蔵庫でも「凍結」に注意


冷蔵庫で点眼薬を保存するときに、意外に見落とされやすいのが「冷えすぎ」です。

点眼薬は、凍結すると成分や製剤の状態が変化する可能性があります。
一度凍ってしまった点眼薬は、溶けて見た目が元に戻っていても、使用しないほうが安全です。

特に注意したいのが、

・冷凍室の近く
・チルド室
・冷気の吹き出し口のすぐ近く
・庫内に霜がつく小型冷蔵庫の冷却部分の近く

です。

小型の冷蔵庫では、庫内の一部に冷却板や小さな冷凍スペースがあり、その周囲に霜がついていることがあります。
そのような場所のすぐ近くでは、点眼薬が凍結してしまう可能性があります。

冷蔵保存が必要な点眼薬は、冷蔵庫の中でも凍結しにくく、温度が安定した場所に置くようにしましょう。

「冷蔵庫に入れているから安心」ではなく、冷やしすぎないことも大切です。


6. ポケットやバッグに入れて持ち歩いてもいい?


点眼薬を外出先でも使用するために、持ち歩くこと自体は珍しいことではありません。

ただし、持ち歩くときにも温度には注意が必要です。

例えば、ズボンや上着のポケットは体に近いため温度が上がりやすく、夏場にはさらに高温になることがあります。
短時間持ち歩く程度であれば問題にならないことも多いですが、長時間ポケットに入れっぱなしにすることは避けたほうがよいでしょう。

バッグに入れる場合も、炎天下にバッグごと放置したり、直射日光が当たる場所に長時間置いたりしないようにしてください。

また、冷蔵保存が必要な点眼薬を外出先へ持っていく場合には、暑い場所にそのまま置かず、 保冷バッグや断熱性のあるポーチを利用するとよいでしょう。

保冷剤を使用する場合に注意したいのが、点眼薬を保冷剤に直接触れさせないことです。
凍らせた保冷剤の表面は0℃を下回るため、点眼薬を密着させると部分的に凍結してしまう可能性があります。

保冷剤と点眼薬の間にタオルや布、ポーチの仕切りなどを挟み、直接接触しないようにしましょう。
また、目的地に到着したら、できるだけ早く指定された温度の冷蔵庫へ移します。

あるいは、点眼薬によっては、同じ有効成分でも室温保存できる製品があります。
旅行や出張が多く、冷蔵保存が大きな負担になる場合には、治療内容に問題がなければ、 室温保存可能な製品へ変更できる場合もあります。


7. 車の中に点眼薬を置いてもいい?


点眼薬の保管場所として、車の中は避けてください。

特に夏の車内は非常に高温になります。
外から見て容器や薬液に変化がなくても、高温によって薬の成分が分解・変質している可能性があります。

「少しの時間だから」とダッシュボードや座席、バッグの中に点眼薬を置いたままにすることもおすすめできません。

また、寒い時期には逆に凍結にも注意が必要です。
寒冷地では、冬の車内や窓際などが非常に低温になることがあります。

点眼薬は「暑すぎる場所」だけではなく、「凍ってしまうほど寒い場所」も避けることが大切です。

車内に長時間置き忘れてしまった場合には、見た目だけで使用可能か判断せず、眼科や薬局に相談してください。


8. 先発品とジェネリックで保存方法が違うことも


同じ有効成分の点眼薬でも、製品によって保存方法が異なることがあります。

例えば、緑内障治療に使用されるラタノプロストという成分があります。
先発品のキサラタン点眼液は、未開封時は2~8℃で保存しますが、開封後は室温で保存することが可能です。 また、ジェネリック医薬品の中には、未開封の状態から室温保存できる製品もあります。一方で、未開封時には2~8℃での保存が必要なジェネリックもあります。 このため、「ラタノプロストだからこの保存方法」と一律に考えず、現在使用している製品の保存条件を確認することが大切です。
つまり、

「前にもラタノプロストを使っていたから、今回も同じ保存方法で大丈夫」
「ジェネリックだから室温で大丈夫」

とは限りません。

薬局でメーカーが変更になった場合などには、保存方法も改めて確認することをおすすめします。

有効成分の名前だけではなく、今使っている「製品」の保存方法を確認することが大切です。


9. 開封後はいつまで使える?


点眼薬の箱や容器には使用期限が記載されていますが、この使用期限は基本的に未開封で、決められた方法で保存した場合の期限です。

一度開封した点眼薬は、使用しているうちに容器の先端などから細菌が混入する可能性があります。
そのため、医療用の点眼薬では、一般的に開封後1か月程度をひとつの目安として使用するよう案内されることが多くあります。

ただし、これは「開封して1か月を1日でも過ぎたら、急に使えなくなる」という意味ではありません。

点眼するときに容器の先端がまつ毛やまぶた、指などに触れておらず、キャップをきちんと閉め、適切な環境で保存できていた場合には、1か月を少し過ぎたからといって直ちに使用できなくなるわけではありません。

一方で、使用期間が長くなるほど、細菌などによる汚染の機会は増えていきます。
そのため、何か月も前に開封した点眼薬をそのまま使い続けることはおすすめできません。

特に、

・いつ開封したのかわからない
・数か月以上前に開封している
・点眼瓶の先端をまつ毛やまぶた、指などに何度も触れてしまった
・薬液に濁りや変色、浮遊物がある
・容器やキャップが汚れている

といった場合には、残っていても新しい点眼薬に交換したほうがよいでしょう。

また、製品によっては「開栓後4週間」「開封後○日以内」など、開封後の使用期間が明確に定められているものがあります。

たとえば、粉末を添付の溶解液で溶かして使用するタイプのベストロン点眼は、 溶解後は冷所(1~15℃)で保存し、溶解日を0日目として7日以内に使用し、7日以降は使用しないようにとなっています。 理由はこの点眼液の主成分は熱に不安定で、分解が進みやすいためです。


10. まとめ


点眼薬の保存で最も大切なのは、その点眼薬に指定されている保存方法を守ることです。

「目薬は全部冷蔵庫」と覚えるのではなく、まず薬袋や説明書を確認しましょう。

特に覚えておいていただきたいポイントは、

・「室温」は1~30℃が目安
・室温保存でも、夏の高温になる場所は避ける
・冷蔵庫では冷気の吹出口や冷凍部分の近くを避け、凍結させない
・ポケットやバッグの中も、長時間高温になる環境は避ける
・車の中には放置しない
・同じ成分でもメーカーによって保存方法が違うことがある

という点です。

また、薬局でこれまでと違うメーカーの点眼薬に変更された場合には、保存方法も一度確認することをおすすめします。

点眼薬は毎日正しく使うことはもちろん、正しく保存することも治療の一部分です。




著者情報

十川眼科大町院 院長 中林征吾

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中林 征吾
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士
  • 日本眼科学会、日本緑内障学会、日本眼炎症学会 所属

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