十川眼科大町院
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多焦点眼内レンズのメリット・デメリット|EDOFと3焦点レンズの違いを眼科専門医が解説

2026.06.03コラム

白内障手術では、にごった水晶体を取り除き、代わりに「眼内レンズ」を挿入します。

最近では、「なるべく眼鏡に頼りたくない」というご希望から、多焦点眼内レンズを選ばれる方も増えています。


「多焦点レンズって実際どうなの?」
「夜のまぶしさは大丈夫?」
「どこまで裸眼で見えるの?」

このような疑問をお持ちの方も多いと思います。


多焦点眼内レンズは、遠くから近くまで見える範囲を広げられる一方で、 レンズの種類によって見え方の特徴が異なります。

そのため当院では、


  • 見え方の自然さ
  • 夜間の見え方
  • コントラスト感度
  • 生活距離

などを重視しながら、患者さんごとにレンズ選択を行っています。
この記事では、当院で行っている多焦点眼内レンズの考え方について、眼科専門医がわかりやすく解説します。


監修:十川眼科大町院 院長 中林征吾(日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士)



1. 多焦点眼内レンズとは?
2. 当院でEDOFレンズを選ぶことが多い理由
3. 3焦点レンズという選択肢もあります
4. EDOFレンズではどこまで見える?
5. EDOF+マイクロモノビジョンについて
6. ハロー・グレアについて
7. 年齢によるおすすめの違い
8. 多焦点レンズが向いている方
9. まとめ
10. 関連するページへのリンク

1. 多焦点眼内レンズとは?


多焦点眼内レンズには、さまざまなタイプがあります。
例えば3焦点レンズでは、遠く・中間・近くなど複数の距離へピントを分配することで、幅広い距離を見やすくしています。

一方、EDOF(焦点深度拡張型)レンズでは、ピントの合う範囲(焦点深度)をなめらかに広げることで、 遠方から中間距離、40~50cmまで自然に見えやすくする設計になっています。


どちらも、単焦点眼内レンズと比較すると、術後の眼鏡依存を減らせる可能性があります。


一方で、3焦点レンズでは、

  • 夜のライトがにじむ
  • まぶしさを感じる
  • コントラスト感度が低下する

といった特徴もあります。 現在の3焦点レンズは以前のものに比べると、そのようなデメリットはかなり減ってはいます。


「近くが見える」というだけではなく、見え方の質とのバランスを考えることが大切です。


2. 当院でEDOFレンズを選ぶことが多い理由


当院ではEDOF(焦点深度拡張型)レンズを選択することが増えています。


代表的なEDOFレンズとして、

  • Vivity(ビビティ)
  • PureSee(ピュアシー)

があります。


EDOFレンズでは、遠方から中間距離、40~50cmまでが自然に見えやすく、 ハロー・グレアやコントラスト感度の低下がかなり少ないことが特徴です。 夜間の見え方も比較的自然で、「単焦点レンズに近い見え方」と表現されることもあります。


3. 3焦点レンズという選択肢もあります


一方で、より近くまで裸眼で見たい場合には、3焦点レンズという選択肢もあります。


代表的なレンズとして、

  • PanOptix Pro(パンオプティクス プロ)

などがあります。


以前の多焦点レンズと比べると、 最近の3焦点レンズでは、

  • ハロー・グレア
  • コントラスト感度低下

はかなり改善してきています。


それでもEDOFレンズと比較すると、夜間の見え方やコントラスト感度では、 EDOFのほうが自然に感じられることもあります。


4. EDOFレンズではどこまで見える?


EDOFレンズでは、遠方から中間距離を中心に、40~50cm程度の近方まで見やすくなるよう設計されています。


ただし、細かい文字を長時間読む場合には、軽い老眼鏡が必要になることもあります。


また、

  • わずかな近視設定
  • 焦点深度
  • 左右のバランス

などによって、実際の見え方は変わってきます。


5. EDOF+マイクロモノビジョンについて


当院では、必要に応じて「マイクロモノビジョン」を組み合わせることがあります。


例えば、

  • 優位眼(利き目):遠方
  • 非優位眼(利き目でないほう):遠方だがわずかだけ中間寄り

とすることで、より裸眼で生活しやすくなる場合があります。


特にEDOFレンズは軽い度数差(マイクロモノビジョン)との相性が良いことがあります。

また、

  • 優位眼(利き目):EDOFレンズで遠方
  • 非優位眼(利き目でないほう):3焦点レンズ

とすることで、より近くを見えやすくする場合もあります。 非優位眼の場合は、わずかなコントラスト感度の低下やハロー、グレアが気にならないことが多いです。


6. ハロー・グレアについて


多焦点眼内レンズでは、

  • ライトの周囲に輪が見える(ハロー)
  • 光がにじんで見える(グレア)

といった症状が出ることがあります。


最近のレンズではかなり改善していますが、 夜間運転が多い方では慎重に検討することもあります。


また、多くの場合は、 術後の時間経過とともに脳が順応し、 気になりにくくなっていきます。


7. 年齢によるおすすめの違い


当院では、75歳以上の方へは、 多焦点眼内レンズを積極的にはおすすめしないことがあります。


理由として、年齢とともに網膜や視神経の機能が低下していることもあり、

  • 矯正視力が出にくいことがある
  • コントラスト感度低下の影響を受けやすい

といった場合があるためです。


もちろん年齢だけで決まるわけではありませんが、 生活スタイルや目の状態も含めて総合的に判断しています。


8. 多焦点レンズが向いている方


多焦点眼内レンズは、

  • 眼鏡依存を減らしたい
  • 日常生活を裸眼で過ごしたい
  • アクティブに生活されている

といった方に向いていることがあります。


一方で多焦点眼内レンズはすべての方に適しているわけではありません。
例えば、


  • 進行した緑内障
  • 黄斑変性症などの黄斑疾患
  • 角膜の不正乱視

などがある場合には、多焦点レンズのメリットを十分に生かせないことがあります。
とくに3焦点レンズではコントラスト感度低下の影響を受けやすいため、 目の状態によっては、EDOFレンズや単焦点レンズをおすすめすることがあります。

眼鏡をかけてもよいので、 「夜間の見え方を最優先したい」 「コントラスト感度を重視したい」 という場合には、 単焦点レンズが向いていることもあります。


9. まとめ


多焦点眼内レンズには、

  • EDOF
  • 3焦点レンズ

などさまざまな種類があります。


それぞれに特徴があり、「どのレンズが絶対によい」というわけではありません。

当院では、多焦点眼内レンズを使いたいという方にはまずEDOFレンズを第一選択として考えることが増えています。 より近方視力を重視する場合には3焦点レンズも選択肢になりますが、

  • 見え方の自然さ
  • 生活距離
  • 夜間の見え方
  • 年齢

などを総合的に考えながら、患者さんごとにレンズ選択を行っています。

多焦点眼内レンズについて気になる方は、診察時にお気軽にご相談ください。




著者情報

十川眼科大町院 院長 中林征吾

医師紹介ページ アクセス
中林 征吾
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士
  • 日本眼科学会、日本緑内障学会、日本眼炎症学会 所属

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