十川眼科大町院
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白内障手術後、どこにピントを合わせる?|単焦点眼内レンズの見え方を旭川市の眼科専門医が解説

2026.05.29コラム

白内障手術では、にごった水晶体を取り除いて、代わりに「眼内レンズ」を挿入します。

現在もっとも一般的なのが「単焦点眼内レンズ」です。
単焦点レンズでは、術後に「どの距離を一番見やすくするか」をある程度設計できます。


「遠くをしっかり見えるようにしたい」
「術後はどんな見え方になるの?」
「なるべく眼鏡の使用を減らしたい」
「スマートフォンを裸眼で見たい」

このようなお悩みがあることと思います。


白内障手術後の満足度は、視力だけでなく、「普段どの距離を快適に見たいか」に大きく左右されます。 そのため当院では、


  • 生活距離
  • 利き目(優位眼)
  • これまでの見え方

などを参考にしながら、 当院で大切にしている「単焦点レンズの見え方設計」について、眼科専門医がわかりやすく解説します。


監修:十川眼科大町院 院長 中林征吾(日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士)



1. 単焦点眼内レンズとは?
2. もともと遠くが見えていた方の設計
3. もともと近視だった方の設計
4. 単焦点眼内レンズの見え方イメージ
5. 優位眼(利き目)を必ず確認します
6. 「これまでの見え方」も参考にします
7. マイクロモノビジョンについて
8. 乱視を軽くすることへのこだわり
9. ハロー・グレア・異常光視症について
10. まとめ
11. 関連するページへのリンク

1. 単焦点眼内レンズとは?


単焦点眼内レンズは、ひとつの距離にピントを合わせるタイプの眼内レンズです。
レンズ代は保険診療の白内障手術費用に含まれており、現在もっとも広く使用されている眼内レンズです。


ただし実際には、「遠くだけ」「近くだけ」と完全にピントが分かれるわけではありません。 瞳孔の大きさや乱視などの影響で、ある程度のピントの合う範囲(焦点深度)があり、 完全に一点しか見えないわけではありません。


そのため、「どの距離を中心に生活したいか」を考えながら設計することが大切です。


2. もともと遠くが見えていた方の設計


もともと正視〜遠視寄りだった方では、これまで通り遠くをより見えるようにするのが自然です。 術後に遠視が残らないようにすることも重視しています。


「単焦点レンズを希望され、老眼鏡がなくても手前を見えるようにしたい」とおっしゃる方もいますが、 急に近視化すると、


  • 遠くがぼやける違和感
  • これまでとの見え方のギャップ
  • 生活上の不自由感

につながることがあります。


そのため当院では、もともと遠くが見えていた方では、基本的には遠方重視をおすすめすることが多くあります。
手前もある程度見やすくしたい場合でも、利き目でないほうを-1.0D(1m程度)に設計することを提案することが多いです。


3. もともと近視だった方の設計


もともと近視だった方では、「近くが裸眼で見える生活」に慣れていることが少なくありません。


以前は、近視の方へは-2.5〜-3D程度(40~33cm程度)の近視を残す設計を行うことが比較的多くありました。


ただ最近では、当院では以前ほどの近視は残さず、

  • -1D〜-1.5D(1m~67cm程度)
  • 強めでも-2D(50cm程度)

をおすすめすることが増えています。


これは、

  • 室内で過ごしやすい
  • 家事などの中間距離が見やすい
  • 眼鏡の負担を減らしやすい

といった理由からです。


特に、-3D前後の近視を残すと、近くは見やすい一方で、ピントが合う距離が狭く感じられることもあります。
もちろん希望に応じて、-3D近く(33cm程度)の近視にすることもできます。


4. 単焦点眼内レンズの見え方イメージ

単焦点レンズの見え方イメージ

遠方重視(0D付近)

遠くが最も見やすく、中間距離まである程度見やすい

軽い近視(-1D〜-1.5D)

室内・家事・パソコンなどの中間距離が見やすい

やや近視(-2D前後)

スマートフォンや読書など近くが見やすく、近方まで比較的見やすい

遠く 中間 近く

5. 優位眼(利き目)を必ず確認します


当院では、術前に必ず「優位眼(利き目)」を確認しています。


一般的には、優位眼をやや遠方寄りに設計することが多くあります。
左右の役割分担を考えることで、より自然な見え方につながることがあるためです。


6. 「これまでの見え方」も参考にします


白内障手術では、単純に「理想的な数字」に合わせればよいわけではありません。

当院では、

  • これまでの近視・遠視
  • 度数の左右差(不同視)
  • 長年慣れてきた見え方

なども参考にしています。


脳がこれまで慣れている見え方を急激に変えすぎないこともよいことがあるからです。


7. マイクロモノビジョンについて


必要に応じて、左右で少しだけ度数差をつける「マイクロモノビジョン」を行うことがあります。


例えば、

  • 優位眼(利き目):-0.5D(2m程度)
  • 非優位眼(利き目でないほう):-1.0D程度(1m程度)

のように、左右でわずかに役割を分けることで、日常生活が送りやすくなる場合があります。


特に、「細かい設計は先生にお任せします」とおっしゃられるご高齢の方では、 普段は眼鏡をかけることなく、ある程度遠くから中間まで見えるようにこのような設計を選択することがあります。


8. 乱視を軽くすることへのこだわり


白内障手術後の見え方では、乱視も非常に重要です。


乱視が残ると、

  • ぼやける
  • にじむ
  • 見え方の質が下がる

原因になります。


当院では、

  • 乱視を軽くする場所に傷口を作る
  • 乱視を軽くするために傷口の大きさも調整する
  • 乱視用眼内レンズ(トーリックレンズ)

などを組み合わせながら、 乱視をできるだけ減らすことに力を入れています。


9. ハロー・グレア・異常光視症について


白内障手術後には、

  • ライトの周りに輪が見える(ハロー)
  • 光がにじんでまぶしく見える(グレア)
  • 何かが光って見える(異常光視症)

といった症状が出ることがあります。


特に夜間運転で気になることがありますが、時間とともに慣れていく方も多くいらっしゃいます。
また、術後の時間経過とともに脳が順応して、気になりにくくなることも多いです。


10. まとめ


白内障手術後の見え方は、単純に「遠く」「中間」「近く」のどこを見えやすくするかだけでは決まりません。

当院では、

  • これまでの見え方
  • 生活スタイル
  • 優位眼
  • 乱視軽減

などを総合的に考えながら、できるだけ自然で満足度の高い見え方を目指しています。
術後の見え方について不安がある方は、診察時にお気軽にご相談ください。




著者情報

十川眼科大町院 院長 中林征吾

医師紹介ページ アクセス
中林 征吾
  • 日本眼科学会認定 眼科専門医、医学博士
  • 日本眼科学会、日本緑内障学会、日本眼炎症学会 所属

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