十川眼科 大町院
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丁寧な日帰り白内障手術

2025.02.14新着情報

目の中にある水晶体(すいしょうたい)というレンズが加齢の変化などでにごってしまい、かすんだりまぶしくなったり、メガネをかけても視力がでなくなったりします。これを白内障(はくないしょう)と言います。

白内障を治すには現在の医学では手術治療しかありません。当院ではより見えやすくなっていただくために乱視をできるだけ軽くしたり、丁寧な日帰り白内障手術を心がけております。


1. 白内障とは
2. 白内障の治療~手術までの流れ
3. 具体的な白内障手術の方法について
4. 眼内レンズについて
5. 白内障手術の費用について


1. 白内障とは
白内障とは

図のように、外からの光は透明な黒目(角膜)、次に茶色目(虹彩)の真ん中の瞳を通ります。さらに瞳のすぐ後ろにある水晶体を通り目の中の内側の神経(網膜)に届いて、ここで電気信号が作られて最終的に脳にその電気信号が送られて物が見えると認識します。
白内障となり水晶体がにごってしまうと、網膜という神経にはっきりとした刺激がこなくなり、かすんだりする症状が出てきます。

 白内障の主な症状
  • かすみ:ものがぼやけたりかすんで見えたりします。

  • まぶしさ:白内障のにごりで光が反射して、まぶしく感じたりします。

  • 視力低下:メガネをかけても以前より視力がでなくなってきます。

  • 近視化:近視の度数が強くなり、ピントが手前に合ってくることがあります。

情報の9割は目から入っていると言われており、白内障と認知症には関連性があると多くの研究で報告されています。 白内障手術をうけて見えやすくなることで長期的な認知機能の低下を減らせることが明らかとなっております。

 白内障の主な原因
  • 年齢による変化:白内障は加齢による変化で必ず起こってきます。50~60歳くらいから起こることが多いです。

  • 糖尿病:慢性的に血糖が高い糖尿病では、白内障が起こりやすくなります。

  • 強い近視:近視の度数が強い患者様も比較的早く白内障になることが多いです。

  • 目の炎症(ぶどう膜炎など):目の中の炎症のために、白内障になることがあります。

  • ステロイドというお薬の長期使用:ステロイドという炎症を抑えるお薬を長く使っていると白内障になることがあります。内服だけでなく、注射や点眼などでも起こることがあります。

  • 目の怪我:過去に目をぶつけたりしたことがあると、将来早めに白内障になることがあります。

  • その他、目の病気や全身の病気など:目の中の手術をしたり、あるいはアトピー性皮膚炎の病気だったり、顔に放射線の治療を受けたりなどでも早めに白内障になることがあります。


2. 白内障の治療~手術までの流れ

現在の医学では、白内障を治すためには手術治療しかありません。
白内障のための点眼薬もありますが、使っても治ることはなく徐々に白内障は進行していきます。 一般的にお薬の効果があるとされるためには数多くの臨床研究から得た科学的根拠(エビデンス)が必要となりますが、白内障治療薬は研究があまりされておらず、エビデンスがほとんどないのが実状です。

 いつ頃に白内障手術をするべきなのか
何歳ころになったらとか、どの程度の白内障になったら手術をするべきという、明確な決まりはありません。

あくまで当院の院長の考えになりますが、見えにくさなどの症状があって眼科を受診されたときが、手術をしたほうがいい時期と考えております。
また、運転をする患者様であれば、メガネをかけた視力が0.7出ないと運転免許の更新ができませんし、ぼやけた状態での運転も危険なので、レンズを入れて出る視力が0.7以下の場合も手術がおすすめです。

2025年の日本人の平均寿命はおよそ男性81歳、女性87歳、そして健康寿命(心身ともに自立して健康に生活できる期間)はおよそ男性73歳、女性75歳と言われています。 白内障手術をうけると認知症予防の効果もあります。白内障手術をして見えやすい状態で生活を楽しむことが、長生きにつながると考えおります。


 白内障手術までの流れ

  • 目の検査:視力検査や白内障の程度を調べたり、目に他の病気がないかを調べます。

  • 白内障手術のための検査・詳しい説明:手術で目の中にいれる人工のレンズの度数を決める検査などを行います。また、ここで手術のための詳しい説明や、手術時期の生活の注意点などの説明を行います。血液検査も行い、肝炎ウイルスなどの感染の有無などを調べます。基本的にはこれらの検査は予約となります。

  • 手術の当日:両目の白内障がある場合、左右の目を別々の日にすることが多いです(ほとんどの場合、1週間以内程度で行います。多焦点眼内レンズを用いる場合は2週間あけます)。
    手術時間は10分程度のことがほとんどです。手術前には瞳を広げる目薬を何度かさします。手術日に院内の滞在時間は2時間弱程度です。,br />菌が目に入ったり、無意識に目を強く押してしまったりするのを防ぐ目的で眼帯・保護板を目につけます(反対の目が極端に見えにくい場合は、穴の空いた眼帯と透明な保護板をつけます)。手術が終わり精算が終わったら自宅に帰ることができます。車の運転はお控えください。

  • 手術翌日の診察:手術翌日にご来院いただき、眼帯をはずして、目の検査を行います。手術翌日からかなりはっきり見える患者様も多いですが、徐々に視力があがってくる患者様もおり、個人差があります。
    手術後には抗生剤の目薬1本、炎症を抑える目薬2本の合計3種類の目薬を使っていただきます(概ね1ヶ月程度以内)。手術翌日の受診時も車の運転はお控えください。

    診察の次の日、手術後2日目から首から下のシャワーを浴びることができます。可能な限り感染を防ぐため、浴槽につかったり患者様ご自身での洗髪はできません(美容室での目が濡れない洗髪は差し支えありません)。手術後1週間たてば、入浴と洗髪は差し支えございません。公共施設での温泉などに入るのは念のため1ヶ月はお控えください。

    手術翌日の診察のときやそれ以降に適宜、裸眼視力も測定します。運転できるための視力が出ていれば運転してよい旨をお伝えいたします。

  • その後の診察予定:手術経過にとくに問題なければ、手術翌日の診察後は、その数日後、1週間目、2週間目、1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目の定期診察があります。その後も検診的な意味も含めて、6ヶ月ごとの診察をおすすめしております。


3. 具体的な白内障手術の方法について

白内障手術の流れ

仰向けの状態での手術になります。上からは顕微鏡からのまぶしい光が当たっており、基本的にその光を見ていただきます。徐々にまぶしさは慣れてくることが多いです。
麻酔の目薬のみで痛みはなくなりますが、触られたり圧迫される感覚は残ります。もしその感覚がつらい場合は、より強めの麻酔を行うこともできますが、ほとんどの患者様が麻酔の目薬のみで行えます。

黒目の端っこに 2~2.4mm くらいの小さな傷口(極小切開)をメスで作ります。にごった水晶体を取っていくのですが、表面は薄くて透明な袋のようなもので包まれています。この袋のようなものはできるだけ残してあげたほうが目にはよいため、前面を円の形でくり抜き、にごった中身を細かく砕いてすべて除去します。
これでにごりはなくなるのですが、レンズの役割をする水晶体の中身をとりっぱなしだとピントが合わないため、人工の眼内レンズを挿入して手術を終えます。通常の場合、手術は10分程度のことがほとんどです。

手術後にできるだけ裸眼でも見えやすくなっていただくため、当院では乱視が最も軽くなる場所に傷口を作ったり傷口の大きさを微調整したりしております。
基本的には 1.0 D 以下の乱視になっていただきたいという思いから、乱視が強い患者様には乱視矯正用の眼内レンズを積極的に用いております。
乱視矯正用の眼内レンズに追加の料金がかかることはありません。当院での眼内レンズの乱視用の使用割合は20%を超えております。

また、緑内障で視野障害がすすんだ患者様の場合、将来の緑内障手術に備えた傷口の作り方をしたり、白内障手術と同時に緑内障手術を行うこともできます。



4. 眼内レンズについて
眼内レンズ

直径 6 mm 程度の眼内レンズを目の中に入れます。
保険診療で行える「単焦点レンズ」と、選定療養となる「多焦点レンズ」があります。
(選定療養とは、患者様の希望・選択により保険適用外の治療を保険診療の治療と合わせて受けることができる制度です。)
多焦点レンズを使用する場合は、保険診療の手術代金とは別にレンズ代金がかかります。

最初の見え方のイメージが単焦点レンズの場合です(焦点を遠くにしたとき)。遠くははっきりしますが、中間、近くが裸眼だとぼやけるため、メガネをかけたほうが見えやすいです。

次のイメージが多焦点レンズの場合です。遠くから30~40cm程度の近くまで見える範囲が広がっています。
単焦点眼内レンズの見え方のイメージ
多焦点眼内レンズの見え方のイメージ


  • 単焦点レンズ:保険診療の手術料金にレンズ代金も入っています。基本的にはピントを合わせた距離ははっきり見えます。そこから離れるとぼやけてきますが、メガネをかけたりすることではっきり見えます。

    手術前にピントが遠くに合っていて手元を見るのに老眼鏡を使っていた患者様は、遠くにピントを合わせたほうが今までと変わらないため自然です。
    逆に、ピントが手前に合っていて遠くを見るのに常にメガネをかけていた近視の患者様は、近視をすこし残して30cmくらいにピントを合わせて、遠くを見るときにメガネをかけるほうが自然です。
    近視の方でも遠くにピントをあわせることもできますし、1メートルくらいの中間距離にピントをあわせることもできます。

    当院では手術前に必ず効き目を確認しております。遠くにピントをあわせる場合でも効き目をより遠くに合わせ、効き目でない方の目を効き目よりもわずかに手前にすることで両目で見たときの見える範囲を広げたりしております。

  • 多焦点眼内レンズ:保険診療での白内障手術料金とは別になりますが、追加で眼内レンズ代金をお支払いいただくことで、単焦点眼内レンズよりもピントの合う場所が多い多焦点眼内レンズを用いることができます。遠く、中間、30cm くらいのところにピントが合う3焦点眼内レンズや、遠くから中間、40cmくらいまで焦点が切れ目なく見える焦点深度拡張型レンズがあります。

    3焦点眼内レンズでは、単焦点眼内レンズのときよりも圧倒的にメガネを用いる頻度が減ります。デメリットとしては、単焦点眼内レンズに比べて見え方の鮮明度がわずかに落ちることと、夜間の運転をするときに光をややまぶしく感じることがあります。

    それに比べて、焦点深度拡張型レンズでは鮮明度や夜間の光のまぶしさは単焦点レンズとほとんど変わりません。その代わりに手元40cmくらいにピントが合うため、3焦点レンズに比べると若干手元の見え方が弱いです。

    当院では多焦点眼内レンズを用いて両眼の白内障手術を希望の患者様の場合、効き目に焦点深度拡張型レンズを入れて、効き目でない方の目に3焦点眼内レンズを入れることが多いです。このようにすることで、効き目で遠くを鮮明にはっきり見えるようにして夜間の光のまぶしさも抑えます。効き目でない方の目で遠くから30cmくらいの近くまでを見えるようにします。
    このようにすることで両目でみたときの見え方の質と幅がよくなり、夜間の光のまぶしさのデメリットもかなり抑えることができます。


5. 白内障手術の費用について

 白内障手術日の費用の目安(自己負担額)
1割負担 片眼16,000円
1割負担 両眼同時28,000円
2割負担 片眼31,000円
2割負担 両眼同時56,000円
3割負担 片眼46,000円
3割負担 両眼同時83,000円
※単焦点眼内レンズの代金も含みます。

高額療養費制度というものがあり、年齢や収入に応じて自己負担額には上限があります。70歳以上で医療費の自己負担割合が1割・2割の方は、月の上限額が18,000円になります。
住民税非課税の世帯の方は69歳以下であれば35,400円、70歳以上であれば8,000円が月の上限になります。

3割の自己負担額の方はざっくりになりますが、年収370万円までだと57,600円、年収770万円までだと80,100円、年収1,160万円までだと167,400円、年収が1,160万円以上だと252,600円が月の自己負担金額の上限となります。
詳しくはこちらの高額療養費についてをごらんください。

なお、高額療養費制度では一旦は上限を超える金額をお支払いいただいたのち、手続き・申請を行うと3ヶ月以降に上限を超えたお金が戻ってきます。入っている健康保険の種類によって、申請を行う場所は変わります。
マイナンバーカードでの受付をされた患者様の場合だと、手続きや申請なしで自動的に高額療養費を超える自己負担額は免除され、支払う必要がありません。

 多焦点眼内レンズの特徴と代金
レンズ名特徴価格
アルコン社
Clareon PanOptix(クラレオン パンオプティクス)
遠方、中間、近方40cmの3焦点レンズ。片眼 28万円
(乱視矯正レンズは33万円)
アルコン社
Clareon Vivity(クラレオン ビビティ)
遠方、中間、40cmまで途切れなく見える。夜間の光のギラつきもほぼなし。片眼 28万円
※保険診療ではなく全額自己負担になります。
※2025年2月現在、ビビティに乱視矯正用はまだありません。
※他焦点眼内レンズは医療費控除の対象になります。

保険診療の手術代金に加えて、上記の多焦点眼内レンズ代金が追加でかかります。

白内障手術のご希望がございましたらお気軽にお問い合わせください。